こんにちは、MTOグループです。

今日は、コンビニの元旦休み問題についての記事を書いてみたいと思います。

働き方を見直す良いきっかけ

この問題は、コンビニだけに限らず、フランチャイズの契約内容を見直すきっかけになると思います。

そもそも、コンビニオーナーは「労働者ではなく、事業主」の概念になっているため、残業などの労務関係が問題にならないのが一番の問題点です。

「労働者」であれば、本社と同様に「時間外労働、過労死問題」等が引き合いに出されます。

ニュースでは、コンビニオーナーは、自分たちの「労働者性」を主張されていましたが、コンビニ本社側からすれば、コンビニオーナーは、スタッフを雇い入れ、お店の経営を任されている「事業主」という立場です。

「コンビニオーナーに雇用されるコンビニスタッフの労働者の権利は守られても、コンビニオーナーの権利が保護されていない現実」があります。

MTOグループにも、フランチャイズのお客様がいらっしゃいます。

フランチャイズ問題などは、事業拡大の際に必ず出てくる問題点でもあります。

そういった意味で、今回のコンビニ問題を「ご自身の事業」と重ねて考えていただけると幸いです。

コンビニの立ち位置

「コンビニは24時間年中無休で開いていて当たり前」という認識になり、随分と時間も経ちました。

40代、50代以上の方であれば、「お正月休みで食料品が買えないから、年末に買いだめする」という習慣は覚えていらっしゃると思います。

一方、20代や30代の社会人の方は、コンビニエンスストアのおかげで、いつでもどこでも食料品や日用品を購入することができるという認識でしょう。

しかし、実際にコンビニオーナーの方は、本社からの様々な圧力と戦っているのが現状です。

オーナーの年収は平均して200万~500万円くらいです。(地域や店舗数により変動します。)

また、コンビニオーナーになると、自分の裁量で休み、休日などを決めることができるようで、実際にはほとんど休みなく仕事をしているという現実、コンビニオーナーは忌引きでも休むことはできない場合もある、8割強が週休一日以下、深夜営業については、改善はされつつあるが、まだ厳しい状態、が現状のようです。

「コンビニは元旦に開けるべきか?」
「コンビニは深夜でも営業すべきか?」

こういった問題が表だって出てきたのは、オーナーが休めない、アルバイトの人出不足といった現状を打破するために作られた労働組合「コンビニ関連ユニオン」のおかげともいえます。

「コンビニ関連ユニオン」は、少しでも現状を把握して貰いたい思いで、コンビニオーナーたちで作られた組織です。

ただし、コンビニオーナーが労働者なのか、事業主であるかの問題は、ここでは取り上げないこととします。

このような問題が起こったのは、コンビニ本社側が「地方の特性」などを理解していない等、様々な柔軟性のなさから来るものだと思われます。

100万人都市のコンビニと、田川や飯塚等の人口10万程度のコンビニでは、深夜の必要性も変わってきて当然です。

さらに、半径2キロ圏内とか、1キロ圏内に於いても、同業のコンビニエンスストアが乱立している現状があります。

『事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ』と、踊る大捜査線の織田裕二のセリフと同じように、コンビニ本社側がスタート地点に立ち返る時期に来ているかもしれません。

本社とコンビニオーナー側の温度差

そもそも、コンビニ本社側は「働き方改革」なども取り入れ、労働環境の整備を徹底しているにもかかわらず、お店の経営は、オーナーに任せています。

働き方改革関連の助成金で、

  • 時間外労働を減らすため、労働時間を短くした
  • 事が回らず人手が必要になった
  • 新たに人を雇い入れた

という場合に対象となる助成金がありますが、この助成金がコンビニオーナーが経営するお店で対象になるかどうかは、実際厳しいところが多いと思います。

コンビニオーナーのお店の人員配置は、オーナーに任されています。

お客様が少ない深夜の時間帯であっても「24時間年中無休」というコンビニのスタイルのため、本社は常に「深夜営業の必要性」を主張してきました。

「人口○○万人以下の都市の場合、半径○○キロ以内にはコンビニを設置しない」等の、コンビニオーナーを守るための条件もないわけですから、コンビニオーナーとしては、さらに厳しい経営環境が続いています。

「従業員やバイトに払う時給が高い深夜の時間帯であっても、お店をオープンしておかなければならない」「一人体制勤務での危険性」など問題は多いです。

コンビニ本社側の言い分としては、「時間がある深夜に、お客様が来るための準備を行う様に」と言う部分で「深夜営業の必要性」を主張します。

しかし、コンビニオーナー側からすれば、「(従業員やバイトに払う)時給が高い時間帯(賃金の深夜割増は22時~翌朝5時)に、(わざわざ)雑務をするのは経費がかかってしまう」となるでしょう。

半径数キロ圏内に、同じコンビニ、或いは同業他社のお店が乱立し、閉店と開店が繰り返されていますが、この最大の影響を受けるのは、コンビニオーナーです。

最近では、都心ではコンビニの「外国人」アルバイトも当たり前となりました。

人件費を削減する(最低賃金で雇用できる)という目的で、外国人労働者、外国人留学生に頼っている、というよりは、人出不足のため、外国人に頼らざるを得ないという現実があります。

コンビニ本社が取り組むべき問題とは?

コンビニ本社は、シッカリと地方の状況を把握すべきだと思います。

コンビニオーナーにも休みは必要ですし、首都圏をはじめとする大都市と比べて、利益などを計算せずに「24時間オープン、お盆やお正月も営業」というのは、果たしてどうなのか?現場の経営と労働環境について、本社が考える時期がきたのかもしれません。

コンビニオーナーの立場からすれば、深夜ほとんどお客様が来ない状態でお店を開けるのはビジネスとしては避けたいところです。

どのようなビジネスでも、損益分岐点などを考えながら事業を改善していくのは、経営者として当たり前のことです。

コンビニ本社は「対岸の火事」で、働き方改革を取り入れ、週休2日で残業なし、さらには、商圏内のコンビニ乱立の規制もかけてくれないでは、コンビニオーナーのことを全く考えていないと思われて当然でしょう。

社会的インフラの立場としてのコンビニの必要性

他には、問題点として「社会的インフラ、災害時の拠点としてのコンビニの必要性」が議論になっています。

「24時間365日いつでも物が買える」時代になって長いので、地元のコンビニが22時に閉まると困るという方も多いと思います。

  • 早朝の現場仕事に行く必要のある人など、朝のコーヒーや軽食、お弁当も買えるので助かっている
  • トイレ休憩も兼ねて、いつでも気軽に立ち寄ることができる

年代を問わず、コンビニは私たちの生活に密に関わる時代となりました。

社会的インフラの必要性から、地方のコンビニでも24時間365日営業すべきというのであれば、これは、コンビニ本社が考えなけれならない問題です。

「暖簾(のれん)を分けてあげてやっているんだから(ありがたいと思え)」ではなく、コンビニ本社が、コンビニオーナーを「会社のパートナー」として、共に企業として成長していく姿勢が必要になるでしょう。

コンビニが、社会的インフラの立場での重要性を担うのであれば、コンビニ本社が国に対して働きかける(補助金や助成金などの優遇処置)のも1つの方法かもしれません。

フランチャイズ契約と労働契約

「24時間年中無休は、契約で決まっていること」と言われれば、それまでかもしれません。

しかし、ビジネスは、実際に動き始めて分かることが多いのも事実です。

今回の問題は、コンビニオーナーの方が、長年コンビニを運営してきて出てきたものだと思います。

私が社労士になって12年目となりましたが、この10年くらいで、労働者の権利や主張は強くなってきたことを実感します。

長時間労働や休日の少ない業種(タクシードライバー、運送業、新聞配達業、コンビニなど)に限られた労使問題も、現在は業種を問わず、労働者の退職後に起こり、経営者が訴えられることもしばしばです。

冒頭にも書いた「コンビニオーナーに雇用されるコンビニスタッフの労働者の権利は守られても、コンビニオーナーの権利が保護されていない現実」・・・

コンビニ本社は、この現実をしっかり受け止め、オーナーに対して今後は柔軟に対応していくことが期待されます。

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